RSF 放射線安全フォーラム 本文へジャンプ
理事長コラム


3.11から 1年経って変わったこと
加藤和明
2012年03月15日

 昨夜(21時05分頃)、筑波に在る筆者の住処が震度4から5と思われる地震に襲われた。気象庁の発表では、震源は千葉県東方沖で深さ 10kmのところだという。その約3時間前(18時9分頃)にM6.8の地震が三陸沖で起き、深さが同じく10kmだった。どちらも 1年前の大地震の余震だそうである。

 当フォーラムでは、奇数月の第2火曜日の夜を原則に、「放射線安全研究会」と称して“特定のテーマ”について、とことん本音で議論する場(それゆえ会の愛称を“アリーナ”としている)を持つことにしており、一昨日開かれた 3月の会では「地震と原子力」がテーマに選ばれていた。 講師にお招きした東北大学名誉教授の大竹先生に「outer-riseの可能性など、余震についての質問」をさせて戴いたところ、将にその翌日に、お答えぴったりの事象が起きたので、席を同じくされていた皆さんもさぞびっくりされたことと思われる。

 そのアリーナで学んだことの一つは、気象庁が 2005年に作成し、関係者が防災計画立案のヨスガとしてきた、地震の Hazard Mapは、3.11という“想定外”の事象の生起により推定の“前提”が崩れてしまっている可能性が大であり、“現時点ではこれに頼り過ぎてはいけない”ということである。

 1年経って大きく変わったと筆者の目に見えるもう一つの事象は、過度の「放射線恐怖症」を戒める声があちこちから沸き起こって来たということである。大学で経済学を専攻し、NHKで15年記者を務めたという経歴の持ち主である池田信夫氏(株式会社アゴラ研究所所長)の書かれた『原発「危険神話」の崩壊』(PHP新書、2012年02月25日発行)には心底感心している。いわゆる「推進派」とか「反対派」といった立場に立つことなく、純粋に“経済学者”の視点で、問題の本質を考察して居られるからである。筆者がこのコラムで訴えてきた事柄の多くが取り上げられていて、心強い“裏書き endorsement”を戴いた思いでいる。

2012年03月15日



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